2015年8月9日日曜日

2015福岡帰郷①

最初に書いておくが全部俺が悪い。

去年飛行機のチケットが取れず急遽深夜バスで帰省した。
14時間かかるが何より料金が飛行機より随分安かったし席も独立して不快感なくただひたすらに読書をして寝てるうちに北九州に着いた。

今回も料金的な事を考えて行きだけはバスにすることにしてネットで調べて目に入った片道9800円の便をすぐに購入。
(後から考えると昨年行ったようなシートのグレードや電源の有無など一切してない)
ここから自分の生来、もしくは遺伝の思い込み、おっちょこちょい、確認不足が生んだ窮屈地獄の14時間の旅が始まるわけです。

8/9
出発に間に合うように新宿のバスセンターに到着。
長い旅だし読みかけの小説も2冊持参。

係員から「1Bですね」と言われバスに乗り込むとなんだか昨年乗ったような快適なバスと雰囲気が違う。
小さいし狭く感じる。
そして席が横並びに通路を挟んで2つずつ。

シートが独立してない…(昨年は横並びにシートは3つ、それぞれの席でカーテンが締めることができ各席に電源が配備され完全プライベート空間が保たれていた。)

この瞬間「ヤバいな…」と嫌な予感。

1B。
通路側の運転席に一番近い席。
窓際で車窓から故郷までの風景を眺める権利はなくなったがまぁしょうがない。
でも目の前はバスの巨大なフロントガラス。
ひとまず良しとしよう。
と自分を落ち着ける。



するとなんだかくたびれたスーツを着た兄ちゃんが「すみません…」と俺の奥の1Aに座った。
14時間もこの兄ちゃんと隣か…
と一瞬思ったがまぁしょうがない。
別に話をしなけりゃいいんだから。
と自分を落ち着ける。

座席は満席で厚手のカーテンがきっちり閉められていて車内は薄暗いというか車内灯がなければ真っ暗だ。

いよいよバスは出発。

もぉこの時にわかってはいたが各席に電源などはない。
というか誰にも電源は与えられていない。

「どうせバスで充電できるし」と根拠のない理由でやってきて俺のスマートフォンの電池の残りは20%ちょっと。
小倉に着いたら実家に連絡などしなきゃいけないからスマートフォンは使えないから電源は切る。
まぁしょうがない音楽は諦めよう。
と自分を落ち着ける。

そしていきなり衝撃の出来事が。
高速に乗り一通り注意事項を説明した運転手(2名で交代制)がなんと運転席と客席を仕切るように真っ黒い暗幕を閉めた。

つまり
想像してください
できるかな?
目の前は真っ黒

です。



へ???
と声が出そうになっちゃったよ。
辛うじて声には出さなかったが。

でもまだ希望は捨てちゃいけない。
読書があるさ。
物語に没頭して邪念を捨てよう。


そして2度目の衝撃。

消灯

は???
と声が出そうになっちゃったよ。
辛うじて声には出さなかったが。

正気ですか?
まだ21:00過ぎよ?


車中でゆっくり読書しながら音楽を聴き車窓から故郷に向け続く田舎の風景を眺め過去の自分の罪や恥や後悔を今一度思い出し頰に涙する権利は粉々に砕け散った。


真っ暗闇。

本も読めない景色も見えないスマートフォンも使えない

もう寝るしかない。


それから
22時
12時
2時
4時

と2時間ごとに運転手交代を兼ねてSAで休憩が入る。
隣の兄ちゃんは口を開けたままずっと爆睡している。

知ってる方もいるかもしれないが俺は睡眠時間が割と短い。
平均4〜5時間。

つまりもう3時の時点で起きてたし、なんならトイレ休憩の度に起きていた。

俺はただ無音な暗闇の中で耐えていた。

5回目の休憩、朝6時頃には空が明るくなってきて分厚いカーテンの隙間から僅かに陽の光が差し込む。

待てよ?
この満員の空間で真っ暗闇で誰もカーテンを開け外の世界を眺めようとするやつはいないのか?
と恐る恐る振り向き後部座席を見渡すが相変わらず真っ暗、全員寝てやがる。

バカか?お前らは。

うっかり声に出しそうになっちゃった。
昨日の21時から一体どんだけ寝りゃ気が済むんだ?

怒りを堪え全く、1ミリも眠くないのに目を閉じ寝るしかない地獄。

次の休憩、8時になりSAで俺はついに我慢できなくなり喫煙所にいた運転手に声をかける。

「すんません、あの運転席と座席を仕切るカーテンはずっと閉めっぱなしなんですか?
ずっと真っ暗で気分が滅入っちゃって。」

「そーね、とりあえず壇ノ浦までは閉めてて、そっから先はみなさん開けたり閉めたりは各自にお任せしてるけどね」
という返事が返ってきた。

まず

とりあえず壇ノ浦

の意味がわからない

壇ノ浦まで何か見ちゃいけないものがあるのか?
合戦で滅びた平家の呪いでも関係してるのか?

もぉ「とりあえず壇ノ浦」という言葉が気になってしょうがないがわかってることはカーテンは開けないってことね。

バスは走り出す。




前方は相変わらず真っ暗闇だがもぉ朝10時だしさすがにカーテンを開ける乗客がいてもいいはずだ。
横を見ると兄ちゃんはまだ寝ている。
この人俺が記憶してるだけで一回トイレ休憩で立ったっきりずっと寝ている。
死んでんのか?

期待も込めて再度後ろを振り返ると後部座席で開いてるカーテンは一つもなくまだ真っ暗闇。

バカなのか?お前らは

昨日の21時からずっと真っ暗の中寝ている俺以外のこいつらを今やすっかり恨み始めていたし余程強靭な精神力の持ち主を集めた何かの宗教団体なのか?とすっかり疑い始めたしもしかしたら俺も何処かへ護送されていくんじゃないかと、だから下界から遮断されてるのか?いや…こいつらみんなドラキュラか?とかいろいろ考えたらうすら恐ろしくなってきた。

暗闇辛い

イライラは極限
発狂しそうだ
閉所恐怖症だ俺は

壇ノ浦を過ぎようやく運転手があの分厚いカーテンを開け両端で留めた。



あと10分遅かったら自分が狂人の如く車内を徘徊して全てのカーテンを開け放ち奇声を発して取り押えられて投獄され一生壇ノ浦近くの刑務所で臭い飯を食い囚人相手にドラムレッスンをして一生を終えるとこだった。

きっちり14時間。
朝11時に小倉駅に到着。

最後にもう一度書くがそもそもバスを予約した時に
あ、9800円って確か去年もそーだったな
あ、こりゃええ!これにしよう
ってシートや電源の有無を「きっとあるでしょ、大丈夫でしょ」と根拠のない自信で安心してた自分が1000%悪い。
俺以外誰も悪くない。


小倉は暑い。
でも太陽も風も感じれるから幸せだ。

ただいま福岡。


0 件のコメント:

コメントを投稿